教育学部の紹介

学部長のご挨拶greeting

九州大学 教育学部長
竹熊 尚夫

 九州大学教育学部は、1925(大正14)年に設置された九州帝国大学法文学部教育学講座を前身とし、第二次大戦後の1949(昭和24)年に学部として開設されました。以来、70有余年、本学部は教育学と心理学を二つの大きな柱として、人の心と育ちの様相を理解し、それに関わる家庭や学校を初めとした多様な領域について学び、その構造を究明し、探求し続ける高等教育の拠点として、多くの優れた人材を輩出してきました。教育学部の設立当初は、戦前の反省に立ち、民主的な社会を我が国に創り上げるという使命を持ち、九州各県の教育体制の改革と民主的教育思想の普及に向け様々な取組を行ってきました。現在では、人類に普遍的な教育や心理の追求と共に、国際社会への貢献を目指し、アジアを初めとした世界中の国と社会との教育を通じた交流の促進や社会の持続的発展への課題の解決を目指して、学術と実践の両面において世界の教育・心理諸科学の発展に関わってきています。

 教育学部の卒業生は、その多くが大学院に進学して修士・博士 の学位を取得後、国内外の大学や研究機関等の教員や研究者、 あるいは高度な実践的専門家として活躍しています。この他にも、 学部専門教育に併設している教職課程を履修して各地で高等学校の教員となるだけでなく、一般企業や、省庁の国家公務員、各種地方公務員、国連等の国際機関職員、文筆家、音楽家など、多彩な人材を国内、海外に輩出してきました。また、取得できる専門資格として社会教育主事や臨床心理士のプログラムの他に、2017(平成29)年度に開始されたわが国初めての心理職の国家資格である公認心理師の養成カリキュラムが提供されており、本学部と大学院教育を経て、心理臨床分野の高度専門職人材が社会に飛び立つことになります。

 教育学部では2019(令和元)年度より国際コースも始まりました。このコースは世界や特にアジアにおいて活躍できるグローバル人材の育成を目標としています。誰もが希望できるこのコースでは、西洋先進諸国のみならずアジア諸国における教育、心理、発達等の特徴と問題点を文化的多様性の観点から学びます。授業科目としては海外におけるフィールドワークやインターンシップに参加して、海外協定校の学生、教員、研究者らと交流し、英語による卒業論文や国際的な課題に関する卒業論文作成を行います。

 一方、近年の私たちの社会を取り巻く環境の変化は、グローバル・ネット社会での知識や学習、親や学校での働き方改革、子どもの生活・学習スタイル等によって、子ども達や大人の心と育ちにも大きな影響を与えています。こうした社会の変化に対処するために、新キャンパスのイースト・ゾーンでは文科系4学部による副専攻プログラムが提供されています。これは、これまでの学部1年生の基幹教育や高年次教育よりさらに専門的な学習をすすめ、教育学部以外に他学部の授業に出席して、副専攻として諸学問を学ぶことができるプログラムです。また、これに加え、人社系協働研究教育コモンズも新たに始まり、副専攻という横の学びに加えて、学部と大学院という研究の縦の繋がりを紡ぐ仕組が、皆さんの学際的な研究意欲に応えます。

 教育学部70年の伝統は皆さんを支えますが、その一方で、皆さんには既存の枠に縛られることなく、それらを飛び越えて、私たちと共に新しい教育学部を作ってもらいたいと思っています。そしてそこで、教育学でもあり、心理学でもあり、更に人文社会だけでなく、自然科学分野までも独自に配合、融合した、自分なりの教育研究領域を開拓し、キャリアを積み重ねてもらいたいと願っています。